東放学園映画アニメCG専門学校の卒業生からの評判

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東放学園映画アニメCG専門学校の評判(卒業生)

卒業生の声

映画監督・堤幸彦さん

1979年卒
映画監督
(株)オフィスクレッシェンド
【おもな作品】映画『ファーストラヴ』(2021年公開)、映画『truth ~姦しき弔いの果て~』TBS系『Get Ready!』

記憶に残り、希望をつなぐ。音と映像の不思議なパワー

音楽であれ、映画であれ、舞台であれ、優れた作品は、誰かの人生にくっついてるものなんです。僕は十代のころ、はっぴいえんど※の『春よ来い』を聴いて東京に出ようと思ったし、思えばその後も、ポップミュージックの変遷と僕の人生はずっと同期していますね。

映画でいえば、『2001年宇宙の旅』『地獄の黙示録』『家族ゲーム』『お葬式』…、人生を変えたいくつかの作品があります。そしてレンタルビデオさえない時代に佐久間義彦先生(東放学園名誉校長)が見せてくれた数々の古典映画やアートムービー。東放学園で過ごした時間もまた、そうした作品の衝撃とともに、僕の中に絶対的な体験として刻まれています。

ただの“音”や“映像”が誰かの人生とリンクして、記憶にとどまったり、生きる希望になったりする。考えてみればすごく不思議なことだけど、それこそがエンターテインメントが存在する意味、エンタメの力なのだと思います。

おじさんがぐうの音も出ない破壊力のある作品作りを

2019年、僕は嵐のライブフィルム『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』でメガホンを取りました。20年来の付き合いであるメンバーのために、すべての力を出す気持ちでのぞんだ作品です。ただ、振り返るとせつない思いもあります。コンサートが行われたのは19年12月23日、コロナ禍の直前です。あの日、歓声を上げていた5万人の大観衆の姿、それまでは日常だったエンタメの光景が、その後、幻影のように不可能となってしまったんです。

コロナ禍は、エンタメ業界に巨大な影響と影を落としています。でも、僕が一番伝えたいのは、そんななかでも多くのクリエイターたちが自ら行動し、新たな表現の出口を模索する機運が生まれていること。3人の女優の心意気で実現した『truth ~姦しき弔いの果て~』、コンテンポラリーダンサー生島翔さんが出演・プロデュースした『Trinity』。僕が演出させていただいた2本の自主制作映画は、いずれもコロナによって封じ込められた人々が決意を持って立ち上がった作品です。彼らの姿勢は、アフターコロナへの芽吹きを感じさせるものでした。

今は、スマホさえあればひとりで映画がつくれる時代。みなさんには“ とりあえず1本監督しちゃう?”ぐらいのカジュアルさでどんどんチャレンジしてほしいですね。そうしたなかで、もし東放学園のような学校に来る理由があるとすれば、それは、“そこに仲間がいる”ということに尽きると思います。僕にとって東放学園は、漠然としか映像業界を知らないまま、ぽっと入った学校です。しかし、そこで打ち込んだ仲間との共同作業は、その後の人生を決定づける革命的な体験となりました。映像、音、光、演技。バンドを組むみたいに才能を結集すれば、世界に届かせる作品作りも可能なはず。おじさんがぐうの音も出ないような、パンチと破壊力のある作品をここから生み出してください。

※ 大瀧詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂による日本ロック草創期のバンド。1969年結成

映画監督・行定勲さん

88年度卒
映画監督
(有)セカンドサイト
【おもな作品】映画『リボルバー・リリー』 映画『窮鼠はチーズの夢を見る』 映画『劇場』
音楽を奏でるように、映画をつくってみたかった

2020年にリモート制作で手がけたショートムービーへの思いは?

コロナ禍によって映画館が封鎖されるという事態を目の当たりにして、今やれることは何かと考えたとき、僕が感じたのは“音楽を奏でるように映画をつくりたい”ということ。震災時に立ち上がったミュージシャンたちがそうだったように、僕ら映画人も、リモート収録やライブ配信という手段を使えば、リアルタイムに人々の心に寄り添う作品を届けることができると考えました。そうして生まれたのが、『きょうのできごと a day in the home』など一連のショートムービーです。感染防止で近づくことが許されない男女の姿など、ラブストーリーの肝になる“距離”という設定をコロナが与えてくれたから、題材としても非常に面白いものになりましたね。

映画を志す人へメッセージを!

表面的なうまさよりも、なぜその表現にたどり着いたのかというプロセスが大事。海外の映画祭を見ていても、先進国でない国の映画人たちがつくった無骨な作品の方が、よほど新しくて衝撃的だったりする。全然ヘタくそでいいんです。自分が求めているものは何か?という純度を大切にして、映像制作にのぞんでほしいですね。

アニメプロデューサー・磯部真彩さん

07年卒
アニメプロデューサー
(株)プロダクション・アイジー
アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』 アニメ『黒子のバスケ』
“プロデューサーに向いている”という先生のひと言で道が開けた

アニメプロデューサーをめざしたキッカケは?

幼少期からずっとアニメ好き。最初はアニメーターをめざし東放学園に入学しましたが、画力が伸びず悩んでいて…。そんなとき先生から「人をまとめるのがうまいからプロデューサーに向いている」といわれ、アニメ制作に関わるにはそういう道もあるのか、と志望を“制作進行”に切りかえたんです。

プロデューサーとはどんな仕事なのですか?

たとえば現在担当している『銀河英雄伝説 Die Neue These』は、多くのスタッフが関わる大作です。制作スタッフの中にも田中芳樹先生の原作小説や30年前に制作されたアニメシリーズの熱いファンがたくさんいて、きっと、それぞれの方の『銀河英雄伝説』の解釈があると思います。多田俊介監督の解釈を重んじながらも、クリエイター個々人々の思いや得意分野をうまく組み合わせて1本のアニメをつくりあげる、その調整はものすごく大変ですが、カチッとハマったときには言葉にならない喜びがあります。

アニメ業界をめざす人にアドバイスを!

私は東放学園入学当初に思い描いていた夢からは、少し違う方向へ舵を切りましたが、アニメの仕事が今も大好きです。そう思えるのも、アニメーターの道につまずいたとき、「別の方法があるかも」と発想を切りかえたことで、アニメプロデューサーへの道が開けたから。東放学園は作画だけでなく幅広く学べる場所なので、自分の中にある新しい才能や可能性にオープンな気持ちで学べば、学生時代の想像を越えた形でアニメと関わる未来が開けるかもしれませんよ!

小説家・南々井 梢さん

00年度卒
小説家
【おもな作品】小説『この子は邪悪』 小説『弥生、三月』 小説『35歳の少女』
最初の読者でもある編集さんの「最高です」のひと言がうれしい!

南々井さんは子どものころから文章を書くことが得意でしたか?

小さいころから本を読むこと、文章を書くことは大好きな文学少女でした。作文など書くことも得意な方でしたね(笑)。ただ、文学に関わらず、あらゆる創作に興味があったので、舞台の台本を書いたり、音楽をやったりと、いろんなことに手を出していました。そのなかで、自分に一番しっくりくるのは“小説を書くこと”だと気づいたんです。

東放学園の在学中に努力していたことは?

クラスの中で一番になること(笑)。ここで一番になれないと、プロの世界で通用しないと思っていたので、授業課題は常に最高の評価をもらえるようにがんばりました! 課題は多かった記憶がありますが、書くことが楽しかったので苦痛ではなかったです。

映画『弥生、三月』などノベライズも執筆されていますが、心がけていることは?

映像には描ききれない“登場人物の心情”をいかに掘り下げるかですね。たとえば、主人公が無言で桜の木を見つめている映画のワンシーンでも、ノベライズではその心の内を細かく綴らなくてはいけません。そうした部分については、かなり自由に書かせてもらえたので、難しくもあり、楽しいポイントでした。

小説家志望の若者たちにメッセージを。

私自身、新人賞を受賞したデビュー作『コカンセツ!』を今読むと、荒削りすぎて恥ずかしいけど、あのときにしか書けなかったものだと思っています。若いときにしか書けない作品、若さゆえに書ける作品を書いてほしい!