「進学ナビ職業図鑑」シリーズ
幼稚園教諭(2012.07.26UP)

どんな仕事?

●3歳から5歳の幼児の発達を伸ばす教育
3歳から5歳の幼児の心とからだの発達は、目を見張るものがあります。公立や私立の幼稚園に勤務して、こうした幼児たちを対象に、その発達を伸ばす幼児教育を行うのが幼稚園教諭の仕事です。教員は、園児たちを観察し、一人ひとりの性格や特質にあった指導をします。

●5つのテーマを常に心に留めて園児を指導
教員は、朝、登園してくる園児一人ひとりに声をかけながら、健康状態に目を配ります。また、遊びやお絵描きを通して、園児を観察し特質や性格を見定め、指導にあたります。指導に際しては、5つのテーマを常に心に留め実行します。その5つのテーマは、「健康」で元気に遊ぼう、「人間関係」で友達と仲良くしよう、そして「環境」で自然の中で遊ぼう、さらに「言葉」でお話を聞こう、最後に「表現」で楽しく絵を描こう、の5つです。指導の方法は、各幼稚園の方針に任されており、それぞれ個性的な指導が行われます。

幼稚園教諭になるには

幼稚園教諭になるには、幼稚園教諭養成課程や幼児教育学科のある大学・短大・専門学校などで必要な単位を取得し、幼稚園教諭免許状を取得することが必要です。
公立の幼稚園の場合は、免許状を取得後、地方自治体の採用試験を受け、合格すれば、名簿に登録され、欠員状況に応じて採用されます。
私立幼稚園の場合は、各幼稚園が独自で採用を行っています。

必要な免許・資格は
必要な免許としては、幼稚園教諭免許状が必要です。
免許状には、専修(大学院卒業)、一種(大学卒業)、二種(短大・専門学校卒業)があります。
社会に果たす役割は?
幼稚園は、将来の社会を担う子どもたちの情操教育をはじめ、これからの成長過程において必要となる話を聞くことや、自分の意思を表現することなどを指導します。さらに、人間関係やリーダーシップなどの基本、創造力や行動力、善悪の判断力などの基本となる考え方などを集団生活や、さまざまな教育を通して身につけさせます。
心とからだが急速に発達する時期の園児たちには、そうした教育は、生涯記憶に残るといわれます。幼稚園教育は、正しい考えを持った大人として育つために重要な教育といっても過言ではありません。
そうした大事な時期の子供を育てる幼稚園教諭の存在は社会にとって重要なのです。
求められる適性・資質は?
幼稚園教諭の第一の条件は、子どもが好きなことです。しかし、子どもが好きなだけではなく、その子どもたちが有意義な将来を目指すような基本的な人間づくりに寄与できる人間性、心の暖かさ、厳しさを持ち、子どもたちを育てる指導力が求められます。
特に小さな子どもたちを指導するには、自分自身が手本にならなくてはなりませんから、自身の行動や生活態度がきちんとしていることが大切です。常に積極的にチャレンジする精神を持っていることも大切です。
また、幼稚園教諭は、まだまだ、よく分別のつかない3歳から5歳の園児を扱うわけですから辛抱強い性格も必要とされます。体力があることや機敏に行動できることも欠かせません。

先輩の声

事務的な仕事は向いていないと思い、子どもたちと遊んだり、いろいろな発見があったり、毎日楽しい方がやりがいがあると、この仕事を選びました。ところが、毎日用意しなければならないことが多く、子どもたちが帰った後の仕事が予想以上に多いので大変だということがわかりました。

園児たちは、自分の感情を相手にうまく伝えることができないので、すぐ手が出てしまいます。そんな時は顔を近づけて、ちゃんと目を見て話して聞かせると、近い存在と思われ、効果があります。子どもたちが先生じゃなく「お母さん」と呼ぶことがあります。私が身近な存在になってきた証拠です。

私たち教員も人間ですから、頭が痛かったり、熱っぽくて薬を飲んで我慢している時もあります。そんな時に、園児たちの笑顔に出会うと、疲れが癒されます。これから未知の世界に踏み出す子どもたちには、常に「なにかな?」とか「どうなっているのかな?」と思う子に育ってほしいです。

幼稚園教諭の実際

幼稚園と保育園はその役割や管轄する省庁も異なり、主に教育を目的とする幼稚園は文部科学省です。そこで働く幼稚園教諭と保育士では、必要な資格や仕事内容などに若干の違いがあります。仕事上での大きな違いは、対象とする子どもの年齢や保育時間などですが、子どもの安全を守り、健康な心と体を育てるという面では共通するものです。また元気な子どもたちの動きについてゆける体力と、自身の健康が必要なことも同様です。

【遊びのなかで子どもの知識や感性を伸ばす】
幼稚園では小学校入学前2~3年間の子どもを対象に、健康面や人間関係から、言葉や表現といったより教育的な面についても、その発達を伸ばす幼児教育を行います。また幼稚園だけでなく、最近では幼児教室のインストラクターなどの仕事につく人も見られます。

幼稚園教諭の仕事内容

【豊かな幼児教育を】
幼稚園は小学校や中学校と同じ正規の学校で、幼稚園の先生は教諭です。ですからお遊戯やお絵かきも教育の一環。楽しみながら、一人ひとりの子どもに合わせて心や身体の発達を伸ばすのが幼稚園教諭の役割。ただ子ども好きというだけでなく、幼児教育の専門知識や技術が求められる仕事です。

幼稚園教諭の現状・将来性

昭和50年代後半から少子化に伴い幼児数が減少しはじめ、新設する幼稚園も減少しています。また縮小や廃園する幼稚園も出てきています。幼稚園教諭の求人は将来的に、やや厳しい状況が続くかもしれません。

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