「進学ナビ職業図鑑」シリーズ
診療放射線技師(2012.07.19UP)

どんな仕事?

●医療分野で放射線を取り扱う専門家
体の中の見えない部分を画像化するX線写真は、病気の早期発見などに欠かせません。X線撮影(レントゲン)をはじめ、幅広く利用されている放射線を、病院や検診センターなど医療の現場で取り扱うのが診療放射線技師です。

●X線撮影から放射線によるガンの治療まで
診療放射線技師の仕事で一番多いのがX線撮影です。医師の指示のもと、胸や腹部などをX線で撮影し、診療に役立てます。また、放射線物質を体内に注入し、その分布を撮影して画像化するアイソトープ検査や、高エネルギーの放射線を用いてガンの治療も行います。最近では、放射線を利用しない、磁力を利用したMRIや超音波検査装置などを扱うこともあります。医療に役立つ放射線も、取り扱い方を間違えば大変危険です。患者が浴びた放射線の管理はもちろん、技師やスタッフの被曝を最小限に抑えたり、事故を防ぐための機器点検を行うなど、放射線の被害を防ぐことも、診療放射線技師の大切な仕事です。

診療放射線技師になるには

診療放射線技師になるには、まず、国の指定する診療放射線技師養成施設で3年以上の課程を修了し、国家試験の受験資格を取得しなければなりません。
受験資格を得るための養成施設は、4年制大学、3年制短期大学、3年制専門学校に設置されています。基礎医学、基礎理工学、放射線に関する知識を学ぶほか、実験・実習も行われます。
国家試験に合格し、免許を取得した後は、国公・私立の病院、診療所、保健所、健康検診センターなどに就職し、診療放射線技師として勤務することになります。

診療放射線技師の仕事内容

【X線診断】
診療放射線技師の仕事はX線診断、いわゆるレントゲン撮影がその最も中心です。骨折などの骨から内臓や血管まで、外科、内科、さらに眼科や歯科まで広く行われます。

【超音波診断】
身体の検査にはX線の他にもラジオアイソトープ(放射性同位元素)や超音波なども使われ、これらも診療放射線技師の担当です。医師との分担が決められているため、協力して行います。

【放射線治療】
放射線は診断のためだけでなく、ガンなどの治療にも使われています。医療に大きな効果がある放射線ですが、被爆などの危険があるため、それらを安全に管理するのも診療放射線技師の重要な仕事です。

必要な免許・資格は?
「診療放射線技師」の免許が必要です。免許を取得するための国家試験は、年1回実施されます。
試験内容は次の通りです。基礎医学大要、放射線生物学(放射線衛生学を含む)、放射線物理学、放射化学、電気・電子工学(自動制御工学を含む)、放射線機器工学、画像工学・エックス線撮影技術学、放射線写真学、放射線計測学、放射性同位元素検査技術学、放射線治療技術学及び放射線管理学(関係法規を含む)
社会に果たす役割は?
放射線を使った検査・治療は、現代の医療に欠かせないものになっています。たとえば、バリウムを使って胃腸を調べる消化管造影や、血管造影なども体内に流し込んだ造影剤にX線をあて、臓器の働きや異常を診断します。こうした放射線を利用した検査を行うのが診療放射線技師です。
また、強い磁石と電波を用いて体のさまざまな部位の断面を画像化するMRI(核磁気共鳴画像)検査や、超音波で体内を調べる超音波エコー検査なども行います。医療のハイテク化が急速に進む今日では、高度な専門知識と技術を生かしてさまざまな検査にあたる診療放射線技師の役割は、ますます重要になってきています。
求められる適性・資質は?
診療放射線技師は、放射線や医療用機器などを使ってさまざまな検査を行います。検査によって得られたデータは、医師が患者を診断するための重要な手がかりです。検査のよしあしが患者を救うこともあれば、その逆になることもあります。精度の高い検査を行うための注意深さ、そして、患者の健康や命をあずかっているという強い責任感が、診療放射線技師には不可欠です。
検査や、医療機器を扱う能力だけでなく、患者に対する応対も、診療放射線技師の大切な仕事の一つです。不安をかかえる患者に対する思いやりをもち、つねに患者の立場を第一に考えて、検査や治療にあたる心がまえが必要です。

先輩の声

病院では、私が出した検査結果をもとに医師が画像診断をするので、的確に診断できる情報提供ができるよう心がけています。X線などの撮影写真は、一定の基準を満たしていることが必要です。ここ最近は、日に日にきれいな写真が撮れるようになり、仕事が面白くなってきたところです。

医療はチームワークですから、つねに医師やスタッフとのコミュニケーションに努めています。患者さんに対しても同様です。患者さんの協力がなければ、いい写真は撮れません。検査の必要性を理解して、はじめて患者さんも協力してくれると思いますので、その点は特に気を遣っています。

検査では、ただ写真を撮るだけでなく、医師の診断に役立つように工夫して撮影する必要があります。いかにうまくフィルムに収めるかという構図も大切です。医療も一種のサービス業だと思いますので、写真撮影でも、患者さんのためを考え、いろいろ工夫するよう若手にも指導しています。

診療放射線技師の現状・将来性

昭和58年に診療X線技師との資格が一本化され、診療放射線技師への移行が進んでいます。今後も医療分野での放射線利用は拡大することが予想されるため、その安全管理も含めて、専門教育を受けている診療放射線技師の需要は拡大が見込まれます。資格取得者も増えていますが、将来性の高い仕事といえるでしょう。

お仕事DATA

【平均収入】
基本的に病院等へ就職するため、給与制となります。平均的な給与は年齢36.8歳で37万円くらいです。

【勤務時間】
通常の日勤が大部分ですが、救急患者への対応などで、休日や夜間勤務となる場合もあります。

【必要資格】
診療放射線技師試験に合格し、厚生労働大臣の免許が必要となります。

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