「進学ナビ職業図鑑」シリーズ
理学療法士(2012.07.18UP)

どんな仕事?

●運動療法や物理療法を担う医療スタッフ
理学療法士は、病院やリハビリテーションなどに勤務し、身体に障害を持つ人、あるいは障害を持つ危険性がある人に対し、医師をはじめとする医療スタッフと協力し、運動療法や物理療法による治療、訓練、指導を行う専門家です。

●綿密な療法プログラムで患者の機能を回復
理学療法士は、英語でフィジカルセラピスト(Physical Therapist)といい、その頭文字をとってPTと呼ばれることもあります。理学療法士は、医師から治療や訓練の指示を受けると、患者の障害の状態による理学療法プログラムを作成します。理学療法には患者の症状などにより、いくつかの療法(筋力増強のための治療体操やマッサージなどの運動療法、温熱・光線・電気療法などの物理療法)があります。患者の症状や状態を把握しながら、これらの療法を組み合わせて、最も適切で有効な治療を行い、患者の機能回復をはかり、社会復帰を支援します。

理学療法士になるには

理学療法士になるには、文部科学大臣指定の学校、あるいは厚生労働大臣が指定する学校で学び、国家試験の受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。
理学療法士養成校では、人文科学、社会科学、自然科学などの基礎科目とともに、国家試験の出題科目である解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学リハビリテーション医学、臨床医学などを学びます。
国家試験合格後は、国公私立の病院を中心に、リハビリテーション施設や老人ホーム、介護施設などで技術の向上に務めながら、働くことができます。

必要な免許・資格は?
理学療法士になるには、理学療法士の国家資格が必要です。国家資格の受験資格は、理学療法士養成校(以前は専門学校や短大がほとんどでしたが、最近は大学にも養成学科が増えてきました)で、3年以上必要な知識と技能を修得することによって取得できます。
国家試験合格後も、常に高水準の技術修得に努めるため、日本理学療法士協会などが主催する各種研修会に参加することが大切です。
社会に果たす役割は?
理学療法士の活躍の場が、病院やリハビリテーションセンターばかりではなく、地域の福祉施設などにも広がりを見せているように、病気や交通事故、労働災害のほか、老化による障害に苦しむ人たちなどのためにも理学療法士が果たす社会的使命は大変重要です。
人々が抱える疾患は、障害化、慢性化、老齢化する傾向が急速に強まっており、理学療法士が治療にあたるリハビリテーション医療のニーズが年を追って高まっているのです。
在宅ケア、地域リハビリテーションなどが進展していくにしたがって、医療機関だけでなく、福祉施設、保健所、保健センターなどへ、社会的養成に応える形で理学療法士が進出していくことが考えられます。
求められる適性・資質は?
理学療法士になるには、養成校で教育を受け、さらに国家試験に合格する必要があるので、それに応じた知的能力が要求されます。
医療関係の仕事ということで、自然科学系の能力だけが必要だと思われがちですが、社会科学系の能力も求められる適性です。
治療や訓練を行うときには、正しい場所に適切に力を加えたり、患者の姿勢のバランスの保持や、移動の時には介助にもあたりますから、相応な体力とともに繊細(せんさい)なこころを持っていることも必要です。
障害者に対する理解、ゆたかな人間性、包容力と忍耐力、説得力と創意工夫する力など、理学療法士に求められる適性と資質は、人間愛そのものだと言えるでしょう。

理学療法士の仕事内容

【リハビリをスタート】
事故や病気で身体の機能を失った患者さんに、マッサージや歩行訓練、治療体操などのリハビリテーションを行い、機能の回復を図ります。担当医と相談し、患者さんの状態に合わせてスタートします。

【時には厳しさも必要】
患者さんには愛情を持って接するのが鉄則ですが、思うような効果が上がらず、回復の意欲を失ってしまう人もいます。時には叱ったり励ましたり、ある程度の厳しさを持って接することも必要。

【ご家族へも心配り】
長いリハビリが必要なケースでは、本人はもちろん支えるご家族の不安や負担も大きくなります。身体の回復だけでなく、患者さんとご家族の心の支えになるのも大切な仕事です。

理学療法士の現状・将来性

資格取得者は増えていますが、リハビリを必要とする患者さんも年々増加していて、就職率はほぼ100%。高齢化を受けて将来的にもニーズが高まる仕事です。非常勤での仕事や再就職もしやすく、女性が長く働きやすい仕事でもあります。また一部ではスポーツトレーナーとして、プロスポーツ選手のリハビリや身体のケアを専門に手がける人も。活躍の場が広い仕事でもあります。

お仕事DATA

【平均収入】
国公立の病院・施設の場合、初任給は基本給で17万~18万程度。民間はこれより若干高くなっています。

【勤務時間】
通常は昼間勤務ですが、病院、施設によっては休日や夜間の診療を行うある場合もあります。

【必要資格】
厚生労働大臣が実施する理学療法士国家試験に合格し、資格を取得する必要があります。

先輩の声

理学療法士の仕事は、患者さんとのコミュニケーションが大事で、それがうまくいかないと訓練もうまくいきません。コミュニケーションが成功し、訓練をはじめるとよい結果が出ます。まだ新人なので、講習会に参加するなどして、技術や知識を仕入れています。

やりがいを感じるのは、まったく立てない、歩けない、話せない状態の患者さんが、少しずつ回復して、家庭や社会に復帰した報告が聞けたときです。心がけていることは、お年寄りに対して、その人が生きてきた人生に対する尊厳を傷つけないよう、言葉づかいや接し方に注意しています。

この仕事の難しさのひとつに、患者さん自身が、自分の障害や病気に対して、認識できないことがあげられます。どうして治らないんだ、と嘆く患者を、どう根気よくリハビリ治療させていくかが、理学療法士の腕の見せ所です。患者は、安心感を得るために病院へ来ることもあるので、その気持ちを汲んであげることも大切です。

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