1999年
スタイリスト&デザイナー
MASAKA株式会社 代表
スタイリストとデザイナーを両立
横田さんは、有名ミュージシャンやタレント、若手アーティストなどのスタイリングを手掛けるスタイリスト。独立して6年が経つが、その間にファッションブランドを立ち上げるなど、スタイリストという枠を超えて幅広く活動を行っている。現在、JACKSON MATISSEを運営するメンバーは横田さんを入れて3名。全員が横田さんと同じく、ブランド運営とほかの仕事を掛け持ちしているという。「違ったジャンルで働くスタッフがそれぞれのノウハウを持ち寄り、新しいアイデアが生まれるところが面白いです。また、ひとつの業務に掛かりきりにならないことで、いい意味でビジネスライクになりすぎず、遊びの部分を残しながら仕事が出来ていると思います」
興味のあることはとりあえずやってみる
スタイリストは撮影日に向けて仕事をするため、一定期間のスケジュールを動かすことができない。そのため、まずはスタイリストの仕事優先でスケジュールを埋めていき、その合間にブランドの仕事を入れていくという。「逆にブランドの展示会が開かれる時期は、スタイリストの仕事を入れないようにしています。スケジュール調整は、ちょうどパズルを埋めていくような感じです」。ただし時間のやりくりは、「大変なこともありますが、決して苦ではありません」と横田さん。「僕は、興味を持ったことは何でもやってみたいタイプ。逆にやりたいことをひとつに絞ることができないので、いくつかのやりたいことがうまくリンクするための方法を常に探している感じです」
ふたつの仕事が好影響し合うとき
ファッションブランドJACKSON MATISSEは、「とりあえずTシャツでも作ってみようか」という気軽な気持ちからスタートさせた。最初は手探りの部分もあったが、スタイリストとして世の中のトレンドを見ていることが、デザインのアイデアを考えるときに大いに役立ったという。また、スタイリストの仕事が思わぬところで助けとなったことも。「商品のリースに行くとき、仲のいいプレス担当者にブランドの新商品を見てもらい、意見が聞けたりするのはすごく有難いです。実際自分の働きかけで、大手アパレル企業のショップに商品を置いてもらえるようになったこともあります。おそらく飛び込みで営業に行っても話を聞いてもらえないでしょうし、もともとの信頼関係があったからこそ話がまとまったのかなと思います」
ワクワクする"新しい"ことを求めて
多忙な毎日を送るなか、「新しいことをやりたい」という好奇心が横田さんの原動力。2010年には、帽子ブランドMASACA HATを立ち上げた。ストリートに根ざしていて大衆的、でもどこか格好よさが漂うテーストの帽子を展開している。横田さんにブランド名の由来を聞いてみると、「自分に必要なのは驚きだと思い、"MASAKA"という会社名にしました」という答えが返ってきた。「真面目に言うのもなんですが、僕は本当に普通の人間なんです(笑)。以前はアーティスト的な物作りに憧れたこともありますが、自分がやってもどこか背伸びになってしまう。僕に奇抜な物は作れないということも分かりました。自分は何が好きで、何が出来るかということを突き詰め、等身大の自分を知ることの大切さを今はしみじみ感じています」
等身大の自分で勝負していきたい
高校時代はフィフティーズに憧れ、文化入学後はスケボーファッションなどのストリート系にはまったり、ときにはモードに入れ込んだりと、横田さんはこれまでにさまざまなファッションを通ってきた。とにかく洋服が大好で、進学時にスタイリスト科を選んだのも当然の成り行きだった。「いろいろなファッションを経験してきたお陰で、洋服の奥深さがなんとなくわかったような気がしますし、スタイリングの幅にもつながっていると思います」。心掛けているのはバランス感覚。やりすぎず、かといっておとなしすぎないところをいつも意識しているという。「自分のスタイルを押し付けるのではなく、コミュニケーションしながら相手がやりたいものを汲み取っていきたい。スタイリングにしてもデザインワークにしても、自分には等身大な感じが一番しっくりくるみたいです」
※この取材内容は2010年12月時点のものです。
【参照元】文化服装学院HP Next