2005年
営業
“株式会社ドゥースリー”
人と人の間に立つ“営業”という仕事
アパレルブランド向けのテキスタイルの企画・製作や、オリジナルテキスタイルの販売を行う株式会社DEUX.THREE(ドゥースリー)で、営業として働く亀井勝利さん。アパレルメーカーと工場の間に立ち、デザインを担当する社内の企画スタッフと連携を取りながら、主にレディースのプリント地を作るためのさまざまなハンドリングを行っている。「人に何かを伝えたり、交渉したりすることが多いので、“物事をいかにうまく伝えるか”が問われる仕事です。自分はドゥースリーに入って3年目ですが、まだまだ勉強することばかりです」
素材の特性を知ることが第一歩
営業という仕事は、言葉ひとつで大きなトラブルにもなりかねない仕事。アパレルメーカーにプレゼンをするときは、“この生地はドレープが出るのでドレスに向いている”など、素材の特性を伝えるようにしているそう。「お客様に納得してものづくりをしてもらうためにも、糸がどうやって織られているかなどを伝える必要があります。ただしお客様側の意向もあるので、全てを話せばいいというわけではありません。“どこまで情報を知らせるか”は状況に応じて判断すべきことですが、そのさじ加減はいつも悩むところです」
生地が出来上がったときが至福の喜び
ドゥースリーの営業はチーム制ではなく、担当者が“個人商店”のように受注から納品までをひとりで請け負う。そのためトラブル時も状況を自分で判断し、対処しなければならない。「かなりプレッシャーを感じます」と言う亀井さんだが、生地見本ができあがった瞬間は日々の苦労を忘れられるひととき。「プリント図案はまず紙の上に起こすのですが、それが生地に乗ると感じがまた違ってきます。プリントがイメージ通りにできているかどうか緊張する瞬間でもありますが、実際の生地を見るとやっぱり嬉しくなります。そして、出来上がった生地をお客様に気に入っていただけたら本当に最高ですね」
学生時代からテキスタイルの道を意識
亀井さんは学生時代の途中までデザイナーを目指していたが、次第に興味は素材へと移行。課題を制作するときも、シルクスクリーンでオリジナルのプリント地を作ったり、素材にペイントしたりするなど、テキスタイルにこだわるようになったのだとか。「2年生のころからテキスタイルの道を意識し始めて、素材の本を見ては『北欧のテキスタイルはかわいいなぁ』なんて思っていました。でも自分で言うのもなんですが、あまり真面目な学生ではなかったと思います(笑)。友だちと喋っているだけで楽しくて、毎日ハイテンションで大騒ぎしていました」
テキスタイルに携わっていられたら幸せ
現在、テキスタイルの工場がどんどん少なくなっているという厳しい状況があるが、アパレル・テキスタイル業界を活性化させるようなものづくりをしていきたい語る亀井さん。「自分はデザインの勉強をしていたので、素材のことだけでなく『この素材はこういうデザインに適しています』といった、少し突っ込んだ提案ができるところが強みかなと思います」。休日買い物に行っても「このブランドは価格の割にいい生地を使っているな」などと、ついつい素材に目がいってしまうほどテキスタイルが大好きな亀井さん。「自分が今後どうなっていくのか分からない部分もありますが、とにかく素材に関わっていられたら幸せです」
※この取材内容は2010年1月時点のものです。
【参照元】文化服装学院HP Next