哲学者ロバート・フルガムは自著において「人生に必要な知識はすべて幼稚園の砂場で学と語っているように、子どもの発達において、一見すると遊んでばかりにみえる幼期こそ、その後の人生の礎を築く最も大切な時期だと言えます。本専修では、少人数よる講義や演習、実習を通じて、さまざまな知見に触れ、経験を積み重ねながら教育や保育を多面的に捉え、〈真〉と〈新〉が織りなす保育実践力の獲得を促します。ま本専修には、本学看護学部との合同演習があり、多職種連携の基礎を学べることも大きな特徴の一つです。
ここがポイント
生涯を生き抜く基盤を作る幼児教育をすべての教員志望者に学んでほしい。
幼児教育は、生涯を自分の力で生き抜く基盤を築く重要なものです。ノーベル経済学賞を受賞したJ・ヘックマンは、長年の研究から「5歳までの教育が、人の一生を左右する」と結論しました。幼児期の学びは、遊びの中にあります。たとえば泥だんごを作るとき、どうしたらまん丸になるか、ピカピカに光らせるにはどうすべきか、子どもたちは全力で考え、ほかの子を観察し、相談し、工夫し、手を動かします。教員の役割は、短期的な結果や成果を求めずに、まず子どもたちが「やりたい」と思うことを思う存分にやらせることです。大人にはイタズラや悪さに見える行為にも、必ず意味があります。「こうしなさい」と強制したり、あるいは叱ったり禁止するのでなく、「なぜそうしたのか?」を理解し、好奇心を肯定してあげると、子どもはグンと伸びていきます。私自身、小学校の教員をしていた際に「学力以前の根源的な教育があるのでは?」と大学院で学直し、幼稚園教諭となりました。幼児教育は、すべての教育の“原風景”。教員を目指す全学生に学んでほしいと思います。